アレルゲン表示2026年4月改正|特定原材料9品目・準ずるもの20品目と原料調達の実務
2026年4月1日に何が変わったか
消費者庁は令和8年4月1日付の事務連絡で、食品表示基準を改正しカシューナッツを特定原材料に追加しました。同じ事務連絡で、次長通知「食品表示基準について」を改正しピスタチオを特定原材料に準ずるものに追加しています。この改正で2品目増え、義務9品目・推奨20品目の計29品目になりました。
- カシューナッツ ― 特定原材料(表示義務)へ追加。2年間の経過措置期間が設けられています
- ピスタチオ ― 特定原材料に準ずるもの(表示推奨)へ追加。経過措置の枠組みではなく「可能な限り速やかに」表示に努める扱いです
この2件は別々の品目の話ではありません。事務連絡はピスタチオについて、「新たに特定原材料に追加したカシューナッツとの交差反応性も踏まえ」可能な限り速やかに表示に努めるよう求めています。ナッツ類を扱う製造ラインでは、片方だけを確認しても対応が完結しないという含意です。
現行の一覧(令和8年4月時点)
特定原材料(表示義務・9品目) ― 根拠は食品表示法(平成25年法律第70号)第4条第1項に基づく食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)です。
えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生
特定原材料に準ずるもの(表示推奨・20品目) ― 根拠は「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表発第139号 消費者庁次長通知)です。
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
実務で効いてくるのは根拠規定が違うという点です。義務側は内閣府令、推奨側は次長通知で定められています。改正の手続きも告知のされ方も異なるため、片方だけを見ていると改正を取りこぼします。
なぜカシューナッツだったのか ― 実態調査の数字
特定原材料は、概ね3年毎に実施される全国実態調査の症例数と重篤度を踏まえて定められます。令和6年度の「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」(N=6,033)における原因食物の内訳は次のとおりです。
- 鶏卵 26.7% / くるみ 15.2% / 牛乳 13.4%
- 小麦 8.1% / 落花生 7.0% / いくら 5.7%
- カシューナッツ 4.6% / キウイ 3.0% / そば 0.4%
カシューナッツは4.6%です。あわせて読むべきなのは、2023年に義務化されたくるみが15.2%で第2位まで上がっていることです。木の実類の比重が継続して上がっており、次の調査でさらに品目が動く可能性があります。規格書の様式を「今の29品目」に固定して作り込むと、数年ごとに作り直すことになります。
改正履歴 ― 追加だけでなく削除もある
- 2026年4月1日 ― 特定原材料としてカシューナッツを追加(同日、準ずるものにピスタチオを追加)
- 2024年3月28日 ― 準ずるものとしてマカダミアナッツを追加し、まつたけを削除
- 2023年3月9日 ― 特定原材料としてくるみを追加
- 2019年9月19日 ― 準ずるものとしてアーモンドを追加
削除があるという点は見落とされがちです。2024年にまつたけが準ずるものから外れています。古い規格書様式や社内の原料マスタがそのまま運用されていると、すでに対象外の項目を管理し続け、逆に新しい品目が欠けたままになります。改正のたびに「追加」だけを追記する運用では、この状態に必ずなります。
原料調達側で先に動かすこと
- 規格書のアレルゲン欄の様式 ― 義務9・推奨20の29品目に更新します。仕入先へ改訂版の提出を依頼する場合、様式の版数を明示しないと旧様式のまま返ってきます
- 製造ラインの混入確認 ― カシューナッツとピスタチオは交差反応性があります。ナッツ類を扱う受託先では両方を同時に確認してください
- 可能性表示は認められない ― 「入っているかもしれない」といった単なる可能性表示は不可です。混入の可能性が排除できない場合は注意喚起表示(例:「本品製造工場では○○を含む製品を生産しています。」)を用います
- 代替表記 ― 特定原材料等の表示と同一と認められる表記なら代替できます。「卵」に対する「玉子」「たまご」が典型例です
- 表示方法 ― 原則は個別表示、例外として一括表示も可という建て付けです。原料側の情報がどちらの様式でも組めるよう揃っているか確認します
経過措置期間は「表示を切り替える猶予」であって「確認を先送りしてよい期間」ではありません。包装資材の切替えには前工程があり、原料段階の情報が揃っていなければそこから逆算した日程が立ちません。
FONTIA取扱原料と特定原材料等
弊社取扱いの中で特定原材料等に該当し得るものを挙げます。いずれも規格書のアレルゲン欄でご確認いただけます。
- ゼラチン(準ずるもの) ― 豚皮ゼラチンP100、P250、P280、P300
- さけ・さば(準ずるもの) ― フィッシュコラーゲン、フィッシュオイル各種。由来魚種は製品ごとに異なるため個別にご確認ください
- 大豆(準ずるもの) ― 大豆抽出物
- 豚肉(準ずるもの) ― コンドロイチン硫酸(豚由来70%)、同20%
カプセル基材を動物由来から植物由来へ切り替える検討ではHPMCカプセルが選択肢になります。ゼラチンカプセルとの違いは別稿で扱います。
規格書・サンプル・お見積りのご依頼はお問い合わせフォームよりご連絡ください。アレルゲン欄の様式指定がある場合は、依頼時にお知らせいただければその様式で用意します。
よくある質問
カシューナッツの経過措置期間はいつまでですか?
令和8年4月1日付の事務連絡で2年間の経過措置期間が設けられています。ただし同事務連絡は「可能な限り速やかに表示に努める」よう求めており、期間いっぱい待つ前提の運用は想定されていません。
特定原材料と「準ずるもの」は何が違いますか?
特定原材料は食品表示基準(内閣府令)に基づく表示義務、準ずるものは次長通知に基づく表示推奨です。根拠規定が異なるため、改正の告知のされ方も異なります。
ピスタチオも義務になったのですか?
いいえ。ピスタチオは特定原材料に準ずるもの(推奨)への追加です。ただしカシューナッツとの交差反応性が事務連絡で言及されており、実務上は併せて確認することが求められます。
まつたけは今も対象ですか?
対象外です。2024年3月28日付の事務連絡で、準ずるものから削除されました。
御社の原料の規格書にアレルゲン欄はありますか?
ございます。様式の指定がある場合はご依頼時にお知らせください。該当・非該当の別と、製造ラインでの混入に関する情報を併せてご案内します。
