豚皮ゼラチンとHPMCカプセル|アレルゲン表示・ゼリー強度・使い分け
最初に分かれるのは「表示」であって「物性」ではない
カプセル基材の比較は、崩壊性・水分・価格の話から始まることが多いのですが、実務で最初に効いてくるのは表示です。ゼラチンを使えばアレルゲンの推奨表示対象になり、HPMCなら該当しません。この差は後工程の包装資材にまで及ぶため、試作の前に決めておくべき項目です。
- ゼラチン ― 特定原材料に準ずるもの(表示推奨)。根拠は「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表発第139号 消費者庁次長通知)
- HPMC ― 指定添加物第328号(和名 ヒドロキシプロピルメチルセルロース/英名 Hydroxypropyl Methylcellulose)。特定原材料等には該当しません
見落とされやすいのが、準ずるもの20品目の中で「ゼラチン」が「豚肉」「牛肉」と並んで別々に掲げられているという点です。豚皮由来のゼラチンを使ったとき、豚肉の欄だけを見て「該当なし」と処理すると、ゼラチンの欄が空のまま残ります。由来動物とゼラチンは、リスト上は別の項目です。
ゼラチンは添加物ではない ― 区分の違い
もうひとつ混同しやすいのが法令上の区分です。HPMCは指定添加物、つまり添加物として指定された品目です。一方ゼラチンは、弊社が収集している指定添加物476品目・既存添加物327品目のいずれの一覧にも含まれていません。食品原材料として扱われる品目です。
この区分の違いは、原材料名表示の書き方、規格書で参照すべき公定書、仕入先に求める試験項目のいずれにも影響します。「どちらもカプセルの殻」という括りで同じ様式の規格書を求めると、片方は埋まらない欄が出ます。
ゼラチンの選び分け ― ゼリー強度(P100〜P300)
ゼラチンの品番に付く数字はゼリー強度です。FONTIAの豚皮ゼラチン(CAS 9000-70-8)は次の4グレードを扱っています。
- 豚皮ゼラチンP100 ― ゼリー強度100g以上
- 豚皮ゼラチンP250 ― ゼリー強度250g以上
- 豚皮ゼラチンP280 ― ゼリー強度280g以上
- 豚皮ゼラチンP300 ― ゼリー強度300g以上
数値が大きいほど固いゲルになります。グミやゼリーのような食感そのものが製品仕様である用途では、この値の差が直接効きます。逆に溶解して使う用途では、強度より溶けやすさや粘度の方が重要になることがあります。
調達上の注意として、ゼリー強度は規定条件下で測定される指標です。「250g以上」という規格値だけを比較しても、測定条件が揃っていなければ同じ土俵の数字ではありません。仕入先を切り替える際は、規格値と併せてCOAに記載された測定条件を確認してください。数値が同じでも実際の固さが違う、という事故はここで起きます。
HPMCカプセルの仕様
HPMCカプセル(CAS 9004-65-3)は食品用ハードカプセルです。取扱いサイズと色は次のとおりです。
- サイズ ― #00EL、#00、#0、#1、#2
- 色(C/B) ― Clear/Clear
サイズは充填量から決まります。先に処方の嵩を確定させてからサイズを選ぶのが順序で、逆にすると充填できずに処方をやり直すことになります。同じ重量でも粉体の嵩密度で必要なサイズが変わるため、試作前に実際の原料でかさを測っておくのが確実です。
どちらを選ぶか ― 判断の順序
- 表示と訴求 ― 植物由来・ベジタリアン対応を訴求するならHPMC。アレルゲンの推奨表示を避けたい場合も同様です
- 販売先の要件 ― 宗教的・食習慣上の制約がある市場向けでは、由来動物が問題になります。輸出を含む場合は先に確認します
- 内容物との相性 ― 吸湿性の高い充填物や、水分に敏感な成分を入れる場合は、基材の水分挙動が問題になります。実際の処方で安定性を確認してください
- コストと供給 ― 一般にゼラチンカプセルの方が安価ですが、必要量と納期によって変わります。年間必要量を早めに共有いただくと押さえやすくなります
順序としては、表示・販売先の要件を先に固め、そのうえで物性と価格を詰めるのが手戻りが少ない進め方です。物性から入ると、後から表示要件でひっくり返ることがあります。
規格書・サンプル・お見積りのご依頼はお問い合わせフォームよりご連絡ください。充填する処方の概要(嵩・吸湿性・想定サイズ)をお知らせいただければ、あわせてご提案します。アレルゲン表示の全体像はアレルゲン表示2026年4月改正で扱っています。
よくある質問
豚皮ゼラチンを使う場合、アレルゲン表示はどう書きますか?
ゼラチンは特定原材料に準ずるもの(表示推奨)です。リスト上「豚肉」とは別項目として掲げられているため、由来動物の欄だけで判断せず、ゼラチンの項目として確認してください。
HPMCカプセルはアレルゲン表示の対象ですか?
HPMCは指定添加物第328号であり、特定原材料9品目・準ずるもの20品目のいずれにも該当しません。
P250とP280の違いは何ですか?
ゼリー強度の規格値の違いで、それぞれ250g以上・280g以上です。数値が大きいほど固いゲルになります。ただし測定条件が揃っていない数値同士は直接比較できません。
カプセルのサイズはどう決めればよいですか?
充填する処方の嵩から決まります。重量が同じでも粉体の嵩密度でサイズが変わるため、実際の原料で嵩を測ってから選ぶのが確実です。
小ロットで試作できますか?
対応可能です。必要量・処方の概要・希望納期をお知らせください。
