ビルベリー原料ガイド|届出は成分量、発注はエキス量 ― 36%と25%の違い

届出値はエキス量ではない
消費者庁の届出を機能性関与成分名で集計すると、ビルベリーは147件です。1日当たりの摂取目安量当たりの含有量を数えると、上位が不思議な数字で並びます。
- 57.6mg … 42件
- 43.2mg … 41件
- 40mg … 29件
- 60mg 3件 / 50mg 1件 / 140mg 1件
57.6 や 43.2 という値は、キリの悪い数字です。これはエキス末の重量に含量%を掛けた結果だからです。アントシアニン36%規格で計算すると、
- エキス末 120mg × 36% = 43.2mg
- エキス末 160mg × 36% = 57.6mg
ぴったり一致します。つまり届出の上位2パターンは「エキス120mg配合」「エキス160mg配合」という設計を、アントシアニン量で表示したものです。実際に公開されている届出でも「1日当たりの目安摂取量は40mg(エキスとして120mg)」のように両方を併記する例があります。
ここが調達で効きます。届出は成分量で書き、発注はエキス重量で出す。その間に含量%という係数があり、係数が変われば必要なエキス量が変わります。
アントシアニンとアントシアニジンは別の数字
ビルベリーエキス末の規格は、多くの場合二本立てで書かれます。
- アントシアニン 36.0%以上 ― 糖が結合した配糖体としての量
- アントシアニジン 25.0%以上 ― 糖を外したアグリコンとしての量
- 遊離アントシアニジン 1.0%以下 といった項目が付くこともある
同じ原料の同じロットについて、二つの異なる数値が同時に正しいという状態です。糖の分だけ分子量が重いので、配糖体基準(アントシアニン)の方が大きな数字になります。
届出の関与成分名は「ビルベリー由来アントシアニン」です。したがって36%の方を使って計算します。もし25%(アントシアニジン基準)で割ってしまうと、必要なエキス量を約1.4倍に過大評価します。逆に、25%規格の品を36%と思い込んで発注すれば、届出値に届きません。
L-カルニチンの「塩として/L-カルニチンとして」、ルテインの「遊離型/エステル型」と同じ構造の問題です。どれも「%の分母が何か」を規格書で固めないと、重量の話が噛み合いません。
撤回率が高い ― 147件のうち73件
ビルベリーの届出147件のうち、73件が撤回済みです。撤回率約50%で、ルテイン(35%)やゼアキサンチン(34%)より高い水準です。
届出件数147という数字だけを見て「実績が多い素材」と判断すると実態を見誤ります。現に有効な届出は74件です。設計の前提にする研究レビューや類似届出を探すときは、撤回済みのものを除いて数え直すことをおすすめします。
研究の蓄積量も確認しておきます。J-STAGEで「ビルベリー」を検索すると86本(2020年以降12本)です。ルテインの1,499本と比べると桁が違います。届出件数と研究蓄積は別の指標です。
近縁素材と混ぜない ― カシス・ブルーベリー
見た目が近い素材が並びますが、届出の世界では別物として扱われます。
- ビルベリー(Vaccinium myrtillus)― 届出147件。文言は「ピント調節機能」「VDT作業」系
- カシス(Ribes nigrum, クロスグリ)― 届出2件・各50mg。デルフィニジン系が主体でアントシアニン組成が違う。文言は「夕方・夜間(暗い場所)」の視覚機能という別方向
- ブルーベリー(Vaccinium spp.)― 機能性関与成分名としての届出は0件。種が違い、アントシアニン含量も規格も別物
「ブルーベリー=目」という一般的な連想は強いのですが、届出の実績はビルベリーに集まっています。訴求を設計する段階で、どの種のどの成分を関与成分にするのかを決めておく必要があります。
同じ目・視覚の領域でも、アイブライト(コゴメグサ)とメグスリノキは届出0件です。伝統的な使用の歴史はありますが、機能性表示の土台としては別の話になります。
規格書で確認すること
- アントシアニン%とアントシアニジン%の両方 ― どちらの数字か明示されているか。ここを最初に固める
- 分析法 ― 含量の測定方法。方法が違えば数値も動く
- 原料種 ― Vaccinium myrtillus であること。ブルーベリー種との区別
- 産地・製造 ― ヨーロッパ産果実、製造工場の認証
- 安定性 ― アントシアニンは熱・光・pHに影響される。保管条件と賞味期限
- 剤形適合 ― 粒度と吸湿性。打錠と粉末充填で適する形態が異なる
ご相談
規格書・サンプル・お見積りはお問い合わせフォームから、目標とするアントシアニン量(成分量)と剤形を添えてご連絡ください。エキス重量で目標をお持ちの場合は、その旨と想定する規格%をお知らせいただければ換算してご提案します。
よくある質問
届出の「57.6mg」はエキスの量ですか。
いいえ、アントシアニンの量です。アントシアニン36%規格のエキス末160mgに含まれる量が57.6mgになります。43.2mgはエキス末120mg分です。届出は成分量で書き、発注はエキス重量で出すため、間に含量%という係数が入ります。
アントシアニン36%とアントシアニジン25%はどちらが正しいのですか。
どちらも正しく、測っているものが違います。アントシアニンは糖が結合した配糖体としての量、アントシアニジンは糖を外したアグリコンとしての量です。届出の関与成分名は「ビルベリー由来アントシアニン」なので、計算には36%の方を使います。
25%で計算してしまうとどうなりますか。
必要なエキス量を約1.4倍に過大評価します。逆に25%規格の品を36%と思い込んで発注すると、届出値に届きません。規格書でどちらの基準かを必ず確認してください。
ビルベリーとブルーベリーは同じですか。
種が違います。ビルベリーは Vaccinium myrtillus、ブルーベリーは Vaccinium spp. で、アントシアニン含量も規格も別物として扱います。機能性関与成分名としての届出はビルベリーに147件、ブルーベリーには0件です。
カシスはビルベリーの代わりになりますか。
置き換えとしては考えにくいです。カシスはデルフィニジン系が主体でアントシアニン組成が異なり、届出文言も「夕方・夜間(暗い場所)」の視覚機能という別方向です。届出は2件・各50mgです。
撤回が多いと聞きました。
147件のうち73件が撤回済みで、撤回率は約50%です。ルテイン35%・ゼアキサンチン34%より高い水準です。現に有効な届出は74件なので、類似届出を探すときは撤回分を除いて数えてください。
