イヌリン原料ガイド|750mgと4.5g、配合量で剤形が決まる

イヌリンとは
イヌリンはフルクトースが連なった多糖で、水溶性食物繊維に分類されます。キクイモ、チコリ、ゴボウなどに含まれます。ヒトの消化酵素で分解されず大腸に届き、腸内細菌の発酵基質になります。J-STAGEでの該当文献は2,655本(うち2020年以降が257本)です。
食品添加物ではありません。弊社が収集している指定添加物476品目・既存添加物327品目のいずれにも含まれておらず、食品原材料として扱われます(なお同じキク科キクニガナの根を原料とする「チコリ色素」は一般飲食物添加物として着色料に掲げられていますが、これは別品目です)。
届出は二方向 ― 血糖値と腸内環境
消費者庁の機能性表示食品の届出を機能性関与成分名で集計すると、イヌリンは累計286件・143社です(単独241件・他成分との組み合わせ45件)。届け出られている表示は大きく二方向です。
- 血糖値 ― 「食後の血糖値の上昇を抑える機能」系(27件)
- 腸内環境・便通 ― 「腸内のビフィズス菌による発酵・増殖に利用され、腸内フローラが良好になることで、便秘傾向者において排便を改善する」系(17件)
組み合わせ届出で目立つのはビフィズス菌との併用です(ビフィズス菌BifiX(B. lactis GCL2505)とイヌリンの組み合わせが13件)。イヌリンが発酵基質、菌が主体という役割分担で、訴求としても噛み合います。このほかクロロゲン酸、ルテオリン、有胞子性乳酸菌、GABA、エラグ酸、バナバ葉由来コロソリン酸などとの組み合わせが見られます。
届出可能な表現と一日摂取目安量は届出ごとに異なり、届出は届出者(製造販売者)の責任で行うものです。
配合量が11倍違う ― 750mg か 4.5g か
届出されている一日摂取目安量当たりの含有量は、多い順に次のとおりです(表記ゆれを合算)。
- 4.5g ― 66件
- 750mg ― 25件超
- 8.1g ― 13件
- 5.2g ― 8件
750mg と 8.1g では11倍近い差があります。これは原価の問題ではなく、剤形が成立するかどうかの問題です。
- グラム単位(4.5g・5.2g・8.1g) ― 錠剤やカプセルには収まりません。粉末スティック、飲料、粉末を溶かす前提の剤形が事実上の選択肢になります。分包の設計と溶解性が主要な検討項目です
- 750mg ― 錠剤・カプセルに収まる量です。他成分と組み合わせる処方で選ばれる傾向が読み取れます
この判断は原料を選ぶ前に済ませておく必要があります。剤形が決まらないまま見積りを取ると、必要量の桁が定まらず比較になりません。
参考までに、同じ日に扱ったエラグ酸は一日3mgが標準です。イヌリンの4.5gとは1,500倍の開きがあり、同じ「機能性関与成分」でも設計の前提がまったく違います。実際に「イヌリン750mg、エラグ酸3mg」という組み合わせ届出も存在します。
由来と純度 ― キクイモとチコリ
FONTIAでは二つを取り扱っています。
- イヌリン(CAS 9005-80-5)
- イヌリン(キクイモ由来) ― イヌリン90.0%以上
グラム単位で配合する素材では、純度の差がそのまま投入量の差になります。イヌリンとして4.5gを確保するなら、90%品では5.0g を投入することになります。分包の容量設計に効いてくるため、規格書の数値が「イヌリンとして」か「製品として」かを必ず確認してください。
また届出の中には「菊芋由来イヌリン」のように由来を成分名に含めた例もあります。既存の届出を参照して設計する場合は、その表記に合う原料かどうかを先に確認してください。
規格書で確認する項目
- イヌリン含量とその基準 ― 「イヌリンとして○%以上」か「製品として」か。グラム配合では投入量に直結します
- 由来 ― キクイモ/チコリ等。届出の成分名表記に関わります
- 溶解性 ― 飲料・粉末スティック用途では最重要項目です。溶解温度と分散性を確認します
- 粒度 ― ダマになりやすさ、分包時の流動性に影響します
- 重合度(DP) ― 発酵特性に関わります。訴求が腸内環境なら確認しておきます
- 吸湿性と荷姿 ― グラム単位で使うため保管容積が大きくなります。開封後の取り回しも織り込みます
調達のご相談
規格書・サンプル・お見積りのご依頼はお問い合わせフォームより、想定する一日摂取目安量・剤形(粉末/飲料/錠剤)・訴求方向(血糖値/腸内環境)をあわせてお知らせください。ビフィズス菌などとの組み合わせを想定されている場合は相手成分もお知らせいただけると、配合上の留意点まで含めてご案内できます。
よくある質問
一日摂取目安量はどれくらいですか?
届出では4.5gが最多(66件)、次いで750mg(25件超)で、8.1g・5.2gの設計もあります。11倍近い幅があり、グラム単位か数百ミリグラムかで剤形が根本から変わります。
錠剤に配合できますか?
750mgなら収まりますが、4.5g以上は錠剤・カプセルには収まりません。粉末スティックや飲料など、溶かす前提の剤形が事実上の選択肢になります。
どんな機能性で届出されていますか?
「食後の血糖値の上昇を抑える機能」系が27件、「腸内フローラが良好になることで便秘傾向者において排便を改善する」系が17件と、大きく二方向です。
ビフィズス菌と併用できますか?
組み合わせ届出45件のうち、ビフィズス菌BifiX(B. lactis GCL2505)との組み合わせが13件と最多です。イヌリンが発酵基質、菌が主体という役割分担になります。
純度90%品と通常品はどう違いますか?
グラム単位で配合するため純度差がそのまま投入量の差になります。イヌリンとして4.5gなら90%品では5.0gの投入が必要です。分包容量に効くため、規格書の数値の基準を必ず確認してください。
食品添加物ですか?
いいえ。弊社が収集した指定添加物476品目・既存添加物327品目のいずれにも含まれておらず、食品原材料として扱われます。
